こんにちは、藤野雄太です。
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現在、アイスは誰もが食べられる庶民的な食べ物です。
しかし、1840年代(今から約180年前!)のアイスは、お金持ちしか食べることができない贅沢品でした。作るには高価な氷、重労働、膨大な時間が必要だったからです。
しかし、アイスは「ある人」のお陰で、みんなに普及し、誰でも食べられるようになります。
ある人とは、ナンシー・ジョンソンです。
ナンシーさんは、どのようにして、高価だったアイスを庶民に普及させたのでしょうか?
【『THINK BIGGER』 シーナ・アイエンガ著 NEWS PICKS】
アイスクリームづくりが時間とお金のかかる重労働だということを、ジョンソンは知っていた。
そこで彼女は高価な材料(氷など)を減らし、製造工程にかかる労力とコストを抑え、できあがった製品をできるだけ長く保存する方法を探し始めた。
彼女は解決すべき課題を見つけた。
「アイスクリームを庶民にも手が届くようにするには?」
やや大きすぎるこの問いをもっと解決しやすくするために、彼女はこれを4つの小さな「サブ課題」に分解した。
サブ課題1:アイスクリームづくりに使う氷の量を減らすには?
サブ課題2:アイスクリームをすばやく冷やし、長く保存するには?
サブ課題3:クリームの攪拌を省力化するには?
サブ課題4:アイスクリームをよりなめらかでクリーミーにするには?
・サブ課題1:アイスクリームづくりに使う氷の量を減らすには?
当時は氷がとても高価で、1キログラムで4ドル69セント(今のお金で150ドル)もした。
人々は氷を浴槽のような巨大な容器に保管して、必要に応じて取り出して使っていた。
バターの攪拌機は背の高い大きな木桶を使用していたが、それをそのままクリームの攪拌に使えば、氷がたくさん必要になってしまう。
ジョンソンは代わりに普通の木の手桶を用い、ここに氷と、氷の融解を遅らせる岩塩を入れた。
もちろん、木桶は新しいアイデアではない。
ジョンソンの時代の400年ほど前に発明され、19世紀には一般に普及していた。
木桶はサブ課題1の「氷の量を減らす」をたしかに解決した。
・サブ課題2:アイスクリームをすばやく冷やし、長く保存するには?
冷蔵庫がなかった時代、これは難題だった。
ジョンソンはまず、他の食品や飲料がどうやって冷やされているかを調べ、ピューター(合金の一種)を使うというアイデアにたどり着いた。
はるか昔の中世時代、居酒屋はビールやエールを冷やすのにピューター製のマグを使い、より最近ではお風呂のお湯を温かく保つためにピューター製の浴槽が使われていた。
そこで彼女は陶製のボウルをピューター製の内容器と交換し、それを氷の入った木桶の内部に設置した。
これでミックス(材料の混合液)を冷やすことによって、製造時間を大幅に短縮した。
ジョンソンは浴槽の氷を使う代わりに、木桶に氷を敷き詰め、その中に陶製ではなくピューター製のボウルを入れた。
これにピューター製の蓋をかぶせれば、アイスクリームは何時間も冷えた状態に保たれる。
・サブ課題3:クリームの攪拌を省力化するには?
クリームや佐藤、その他のミックスを何時間もかき混ぜるのは、過酷な作業だ。
この課題を解決するために、ジョンソンは手回しのクランクを加えた。
1世紀に中国で発明され、その後ローマ帝国へ、そしてヨーロッパの他地域へと広がった仕組みだ。
手回しクランクは、アイスクリームを攪拌する時間と労力を劇的に減らした。
・サブ課題4:アイスクリームをよりなめらかでクリーミーにするには?
アイスクリームを手づくりすると、腹立たしいことに、それだけの労力やお金をかけてつくっても、クリームが分離し、大きな氷の塊や小さな氷の結晶ができてしまうことが多い。
そこでジョンソンは、ヘラを手回し器につけて、容器の壁から氷の結晶をこすり落とすようにした。
またそのヘラには、バター攪拌機の円板のように穴を開け、ミックスに空気を含ませてなめらかになるように工夫した。
こうしてナンシー・ジョンソンは、4つの単純なものを組み合わせて、メインの課題全体を解決した。
ここで注目してほしいのは、イベノーションを生み出すプロセスの構造である。
このプロセスは、課題を明確かつ具体的に定義することから始まる。
次に、それを重要な部分に分解する。
それから、各部分を解決する既存の方法を探索する。
そして、それらの解決策を全体として調和して機能するように、新しい方法で組み合わせるのだ。
【語句と意味】
★課題(かだい): 問題(もんだい)をあたえること。また、あたえられた問題。
★定義(ていぎ): あるものごとについて、それがどんなものであるかを正確(せいかく)にきめて説明(せ
つめい)すること。
★探索(たんさく): <ありかのわからないものを>さがし、もとめること。
*学研小学国語辞典
【探究テーマ】
自分が解決したい課題を選び、4つのサブ課題に分解してみよう。
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