こんにちは、藤野雄太です。
「数学(算数)なんて、将来使わないから勉強しないよ」
子どもから、このようなセリフを聞いたことはないでしょうか?
皆さんは、この質問に何と答えますか?
東京大学の西成活裕氏は、むしろ、
「現代人は数学抜きでは、暮らしてはいけない」
と言います。
今日のデジタル社会では、
理数系人材の育成は日本の重要課題です。
以下、本日の日経新聞に、
そのヒントがありますので、ご紹介します!
↓
Q:コロナ対策にも数学が登場しますね。
「まさか実効再生産数という数学的な用語が
これほど広く知られるとは夢にも思いませんでした。
病気への恐れもあって、
数学にも興味を持つのでしょう。
これは数学でも数理モデルという分野です。
現実を単純化したコピーを作り、
理論やコンピューターを使って予測する。
感染者が1日に何人ぐらいにうつすか、
何日で回復するかなど条件を微分方程式に入れれば、
10日後、1ヶ月後の感染者が予測できます」
Q:(数学が)暮らしに役立つ実感は薄いのですが。
「現代人は数学抜きでは、
暮らしてはいけないほどです。
ふだん安心して生活できるのは数学のおかげ。
携帯電話には数学が詰まっているし、
台風の進路予想には偏微分方程式が使われている。
車の自動運転やドローンの操縦でも、
互いにぶつからないようにする
衝突回避アルゴリズムに高度な数学が使われていて、
例を挙げたらきりなない」
Q:それでも、文系の人も数学を学ぶ必要がありますか?
「現代の我々が解決を迫られている問題は、
一分野の知識だけじゃ解けない。
環境問題を考えるには、
物理や化学、そして経済も要る。
融合型の知識が必要なんです。
専門家を集めて議論すればいいと
よく言いますが、それは間違い。
一人の頭に入っていないとだめです。
幅広い視野で取り組まないと、
対応できないんですね」
Q:学校教育は対応できますか?
「難しいですね。
私自身、中高生の時に経験しましたが、
数学が何の役に立つのか先生が答えられない。
それじゃ学習意欲もわいてこない。
利用法が分かれば、面白くなってくるんですよ」
「答えられない最大の理由は、
応用数学を教えていないことです。
大学の教授も中学高校の教師も
ほとんどが理論中心の純粋数学育ちで、
どう役立つか説明できない。
最初から応用を目的にすれば、
ぜんぜん違う教え方ができると気づいた」
Q:具体的には、どう教えますか?
「試しに小学校で算数と音楽と理科を
同時に教えたことがあります。
音程や拍子と計算を一緒に教えてみたら、
算数嫌いの子も非常に面白がってくれた。
融合型なら、応用数学への興味も広がるんですね」
「A Iやデータサイエンスを学ぼうとしたら、
応用数学が必要になります。
そのための基礎は、
余計な部分をそぎ落とせば、
中学なら、代数、解析、幾何
の3部門の重点を5、6時間で理解できる」
「しかし、いちばんの問題は
応用を教えられる人がいないこと。
研究室でも理論と応用、
両方分かる人材を育てています」
Q:どう学べば?
「完全でなくてもいい。
どの理論を使えば、どんな結果が出るか。
そこが分かれば、驚くほど役に立つ」
「カギは論理的思考です。
数学って、論理を記号で表現して積み上げているだけなんです。
例えば、
A=B, B=Cなら、
A=Cですよね。
いわゆる三段論法。
あるいは、日本の都道府県をすべて挙げよと言われて、
答えに『関東』を入れると変ですよね。
論理がしっかりしていないと話が伝わらない。
そうした論理が身についていれば、
あとは導き方しだいです」
Q:どう導きますか?
「手段をまちがうと、
いつまでも目的にたどりつかない。
中高の教科書から始めるのは効率が悪い。
目的が分かれば、
達成するのに必要な勉強法をすぐ用意できる。
個々の事情に合わせた
テーラーメードの教え方ができないか考えています」
↑
以上、引用ここまでです。
藤野もかつて、
「数学なんて、何の役にたつの?」
と思い、数学は嫌いな科目の筆頭でした。
しかし西成氏が言うように、
私たちの生活は、むしろ数学無しでは語ることができません。
なかでも藤野が注目したのは、
「目的逆算型の学び」です。
スイングアカデミーが実施している探究授業も全く同じ考えで、
教科書(抽象)から入るのではなく、
身の回りのもの(具体)から入ります。
例えば、理科の「天気」を教えるのに、
いきなり、「高気圧とは〜」という説明から始めません。
「なぜ、最近は毎年数十年に一度の台風が毎年来るんだろう?」
と実際の身近な問題から問いを立てます。
「高気圧」に子どもは興味を感じません。
しかし、「台風」は実際に自分が被害を受けるので興味があります。
社会のデジタル化が進む今だからこそ、
理数教育を発展されるためにも、
教科書から入るのではなく目的逆算型の学びが、
必要とされているのではないでしょうか。
理数系教育の進展のみならず、
子どもの学ぶ意欲も高まります。
ぜひ、参考にしてみてください。
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